みなさんこんにちは!
2025年9月7日に放送されたNHKスペシャルでは、次世代半導体の開発に挑むRapidus(ラピダス)の姿が紹介されました。
その中で注目されたのが、政府から1兆円を超える税金による支援と、建設地に北海道・千歳市が選ばれた理由です。
「どうして千歳なの?」
「税金はどのように使われるの?」
NHKスペシャルを観てそんな疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
この記事では千歳市が選ばれた背景や税金の使い道と内訳をわかりやすく整理し、さらに熊本のTSMC工場との比較も交えて解説していきます。
この記事で分かること
- ラピダスとはどんな会社なのか
- 北海道・千歳市が選ばれた理由
- 1兆円超の税金の使い道と用途の内訳
- 熊本TSMC工場との比較ポイント
千歳という地で進むプロジェクトを知ることで、日本が世界の半導体競争にどう挑んでいるのかがより身近に感じられるはずです。
ラピダスとは?
Rapidus(ラピダス)は、2022年8月に設立された日本の次世代半導体メーカーです。
トヨタやソニー、NTT、デンソー、NEC、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJ銀行など国内大手8社が出資し、政府の強力な支援のもと誕生しました。
目標は2027年に2nm世代の半導体を量産すること。
2025年7月には試作チップの動作確認に成功し、世界最先端に挑む体制を整えつつあります。
また、ラピダスはIBM(アメリカ)やimec(ベルギー)といった海外研究機関と連携し、技術開発や人材育成にも力を注いでいます。
国内に最先端半導体の量産拠点をつくるという、日本にとって初めての大規模プロジェクトなのです。
小池淳義社長のプロフィールや経歴について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

ポイントまとめ
- Rapidusは2022年設立の次世代半導体メーカー
- トヨタやソニーなど国内大手8社が出資
- 2027年に2nm世代の量産を目指し、国の戦略として進行中
国家戦略として進められる姿勢からも、期待の大きさが感じられますね。
ラピダスはなぜ北海道千歳?
「どうして千歳なの?」と気になった方も多いでしょう。
実は半導体工場には特別な条件が必要で、千歳はその要件を満たす数少ない地域のひとつなのです。
①広大な土地
最先端の2nm半導体を量産するには、巨大なクリーンルームが不可欠です。
千歳は広大な敷地を確保でき、将来的な拡張余地も十分にあります。
②豊富な水資源
半導体の製造には大量の超純水が必要です。
千歳は水資源が豊かで、安定した供給が可能な点が大きな魅力となっています。
③電力・再エネの可能性
製造には莫大な電力が必要ですが、北海道は再生可能エネルギーが豊富。
環境に配慮した工場運営を実現できるポテンシャルを持っています。
④アクセスの良さ
新千歳空港に近いため、海外からの人材受け入れや部材の輸送に有利です。
物流面でも千歳は理想的な立地といえます。
⑤自治体の支援
千歳市や北海道は積極的な誘致活動を行い、官民一体でバックアップしています。
地域と共存する姿勢も高く評価されています。
ポイントまとめ
- 広大な土地で将来の拡張も可能
- 半導体製造に必要な豊富な水資源
- 再エネを含む電力供給のポテンシャル
- 新千歳空港に近く物流・人材確保に有利
- 自治体の積極的な支援体制
自然資源とアクセス性、そして地域の支援が重なり、ラピダスにとって理想的な場所だったと言えますね。
ラピダスに税金1兆円!?使い道の用途や内訳は?
NHKスペシャルでも注目されたのが、政府から1兆円を超える支援です。
2025年3月時点では、累計上限1兆7,225億円(前工程1兆5,420億円/後工程1,805億円)が決定しています。
①前工程(ウエハ製造)
ウエハとは、半導体チップのもとになる丸いシリコン板のこと。
その上に回路を描き、削り出すことで1枚から何百ものチップが作られます。
この工程には巨大なクリーンルームの建設や、1台数百億円するEUV露光装置の導入など、莫大な投資が必要です。
②後工程(先端パッケージ)
大きなチップを分割して小さな部品「チップレット」にし、それを組み合わせて性能を高めるのがチップレット設計です。
例えるならブロックを組み合わせて家を建てるイメージ。
AIや高性能計算に不可欠な技術で、設計・実装・量産プロセスに税金が使われます。
③研究開発と人材育成
ラピダスは海外研究機関とも連携しています。
IBM(アメリカ)は世界的なIT企業で、2nm試作にも成功した研究拠点を持っています。
imec(ベルギー)は欧州最大級の半導体研究機関で、材料や製造プロセスの共同開発で世界をリード。
こうした国際協力や、若手技術者の人材育成にも税金が投じられています。
④なぜ税金を投じるのか
半導体は生活を支える基盤技術であり、国家安全保障や経済成長にも直結します。
1社だけでは負担できないため、政府が国家戦略として支援しているのです。
つまり「浪費」ではなく未来への投資だといえます。
半導体開発に莫大なコストがかかる理由についてはこちらの記事で紹介しています。

ポイントまとめ
- 支援額は累計1兆7,225億円(前工程・後工程に分配)
- ウエハ製造=チップのもとになる基盤作りに巨額投資
- チップレット設計で小型チップを組み合わせ性能を高める
- IBM・imecとの国際連携や人材育成にも活用
- 税金は浪費ではなく未来への投資
専門用語を知ると、税金がどのように未来の技術や産業に結びついているのか、ぐっと分かりやすくなりますね。
熊本のTSMC(JASM)との比較・違いは?
北海道・千歳に建設されるラピダスの工場と並んで注目されているのが、熊本県菊陽町にあるTSMCの日本法人JASMです。
JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)は、TSMCの子会社として設立され、ソニーグループやデンソー、トヨタも出資する合弁会社の形をとっています。
JASM熊本の概要
第1工場には最大4,760億円、第2工場には最大7,320億円の政府補助金が決定し、合計約1.2兆円規模の支援を受けています。
生産レンジは40/28/16/12/7nm世代で、月産10万枚以上の規模を計画。
自動車や産業用半導体の需要に直結する「即戦力工場」として位置づけられています。
熊本が選ばれた理由
ソニーのイメージセンサー工場に近く、自動車産業のサプライチェーン(デンソーなど)とも隣接。
九州は古くからシリコンアイランドと呼ばれ、半導体関連産業の集積地であることも背景です。
ラピダス(千歳)との違い
熊本のJASMは成熟〜中先端ノード(40〜7nm)を対象とし、既存産業に直結する「現在の需要対応型」。
一方、千歳のラピダスは最先端2nm世代に挑戦する「未来の競争力獲得型」。
つまり両者は役割分担をする形で、日本の半導体基盤を強化しているのです。
比較まとめ
- JASM熊本:TSMC子会社、日本企業と合弁/40〜7nmを量産/既存需要に即応
- ラピダス千歳:国家プロジェクト/2nm世代を目指す/未来への投資型
- 両者は役割分担し、日本の半導体産業を補完し合っている
それぞれが異なる強みを持ち、日本全体で半導体産業を底上げしていると考えると、未来への期待も高まりますね。
ラピダスの小池社長の人物像
Rapidus(ラピダス)の代表取締役社長・小池淳義さんは、日本の半導体復活を託されたリーダーです。
日立で半導体事業に携わり、外資系半導体企業のトップも歴任。
2022年にRapidusを立ち上げ、豊富な経験と人脈を活かして最先端2nm開発を率いています。
2025年9月のNHKスペシャルにも登場し、2nm試作成功や政府支援について語った姿が大きな注目を集めました。
小池社長についてさらに知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。




人物像まとめ
- Rapidus社長・小池淳義さんは日本の半導体復活を率いる存在
- 豊富な経験と人脈で国家プロジェクトを推進
- NHKスペシャル出演で注目度がさらに高まった
人物像を追うことは、日本の半導体の未来を理解するうえでも大切ですね。
【まとめ】ラピダスはなぜ北海道千歳市?税金1兆円の使い道と用途の内訳
今回の記事では、ラピダスが北海道千歳市に拠点を置いた理由と、税金1兆円超の使い道と用途について整理しました。
千歳は広大な土地や豊富な水資源、再生可能エネルギー、そして新千歳空港に近いアクセス性という好条件が揃っています。
さらに政府からの巨額支援が、2nm世代半導体の挑戦を後押ししています。
この記事の要点
- Rapidusは2022年設立の次世代半導体メーカー
- 北海道千歳市は土地・水・電力・空港アクセスが強み
- 政府支援は累計1兆7,225億円規模(2025年3月時点)
- 税金は工場建設・EUV装置・研究開発・人材育成に活用
- 熊本のTSMC(JASM)と役割分担し、日本の半導体基盤を強化
半導体の開発費がなぜ高いのか?
について分かりやすく解説した記事はこちら。

それぞれが異なる役割を担うことで、日本全体の半導体産業が強化されていく。
税金の意味を知れば知るほど、未来への投資としての価値が見えてきますね。
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